山口佐貴子【前編】

フォトリーディングは人生を伴奏するスキル

―山口さんのフォトリーディング講座は、今年で受講生が 3,700 名を超えたそうですね。

講座をやってきて 10 年以上になります。私はもともと飽き性なので、よくここまで来られたなと思います。ありがたいです。

―飽き性とおっしゃいましたけど、ここまで続いた原動力はどこにあったのでしょうか?

それはひとえに、新しい受講生に出会える喜び。求められる喜びですね。フォトリーディングは、人がものすごい変化を遂げていくことをバックアップできるスキル。私の講座は、本の読み方だけでなく、考え方も伝えます。フォトリーディングは、読み方のスキルと、それを受け取る器、つまり思考回路とセットなのです。だから、どのような考え方をしたらフォトリーディングが日常に根付くのかもセットで教えています。

フォトリーディングのスキルの魅力もさることながら、このフォトリーディング的思考回路というのは脳の賢い使い方でもあり、仕事に活かしたり人間関係に活かしたりすると発想も広がり、コミュニケーション能力も変わってきます。

そうすると、みんながいろいろな可能性に気づいて、次なるステージにチャレンジしたくなる。そのときに、フォトリーディングで得られる情報がそのチャレンジをバックアップしてくれるんです。またそこから次の扉が開いて、さらなるチャンスが降ってきたときに、1 段飛び、2 段飛びでのチャレンジも可能になる。もし少し高飛びしすぎたかもと思っても、そこでの足りない知識もフォトリーディングなら短時間で本が読めるわけだから、バックアップになる。だから、みんなが変化という言葉では足りないぐらい、化けていくんですよね。

フォトリーディングは、人生に伴走するスキルです。だから私は、フォトリーディングは「たしなむもの」だと思っています。お茶をたしなむのと一緒で、やはり熟練したら熟練した面白さや味わい深さがある。3 年やれば 3 年、5 年やれば 5 年の発見があるから、結局、自分との付き合い方みたいなものなのですね。

熱い読書にしびれました

―山口さんはどんなきっかけでフォトリーディングに出会ったのですか?

神田昌典さんが日本に初めてフォトリーディングを持ってきたとき、神田さん自身がインストラクターになるための試験があって、私の夫が受講生として呼ばれていたんです。それで、帰ってきた夫が、部屋で背筋をピーンと伸ばして「リーラックス、リーラックス」と言いながら本のページを素早くめくっているわけです。「何やってるの?」って聞いたら、フォトリーディングだと言われたのです。

実は、私そのときよく聞き取れなくて、「ホットリーディング」だと思ったんです(笑)。

―ああ、熱い読書だと…

夫は早口だからそう聞こえたんです。そのあと、神田さんの講座を私が受けたときにもまだ勝手に「ホットリーディング」だと思っていて。そのときはまだ『あなたもいままでの 10 倍速く本が読める』の書籍が出ていなかったので、確かめるすべもなく思いこみは続きました。でもそれがよかった。私もいままでは読書に関しては確かに熱くなかった、もっと情熱を傾けなきゃいけない!と解釈した、その勘違いの熱さが、フォトリーディングを続ける情熱にもなりましたね(笑)。

―講座を受講したとき、すぐに「これはいける」と思われたんですか?

本当にあのときは楽しかった! 私、講座受講初日はカンボジアから帰ってきた日で、朝 6 時に成田に着いたんですよ。機内では一睡もできず、そのまま会場に向かいましたが、講座のあいだ一度もコクリともしなかった。どれだけ楽しかったか! もう、すごい衝撃でした。

何と言ったって、フォトフォーカス(※目の焦点を合わせずに本のページを見る)してページをめくれ、だから(笑)。でも究極は、私があるとき家族とのバカンスに持っていった本が、講座の中で出てきたことです。『人生の意味』という本なのだけど、5 日間で毎日 2 時間、合計 10 時間かけて、外は真夏の太陽が照る中、私は冷房をかけた部屋で読んでいたのね。それで、帰りに夫に言われたの。「さぞ楽しかったんだろうね。一生懸命読んでいたから。何が書いてあったの?」と。私は自分のメモを見て、一生懸命内容を思い出そうとしたけど、断片でしか説明できなかった。なんとその本が、講座の最後の日に教材として出たのです。40 分くらいで読み、マインドマップを書いたら、なんと内容が話せる! 滔々と説明する自分がいたのです!

え、ちょっと待ってと。10 時間が 40 分でしょう? それでこんなにしゃべれちゃうわけでしょう? どういうこっちゃ!と思ったわけ。これで変われると思ったのよ。思考回路も、気持ちの余裕も、読書も、もう明らかに変わると。そのときにもう本当しびれちゃって、そのときからしびれっぱなしです。

結局、そのころは子どもがまだ 10 歳。祖父母も遠くに住んでいるから助けはない。夫も私も、健康食品や化粧品の開発販売会社の社長。要は部下がいて、日々いろんなことが会社で起こる。そのころは、1 日がみんなのことで終ってしまって、私は「私の仕事をさせて」と心の中で叫んでいたの。

それが、フォトリーディングを受講したら、ある健康食品の開発時間が 5 分の 1 になった。本を読むのが速くなると、意思決定力が付くのです。本を読んで、いろいろなデータを得た上で決めるから、迷わない。あとは何と言っても、部下をフォトリーダーにしましたから。2 時間あるから本 3 冊読んで、ポイントをまとめて、プレゼンよろしく、でオッケーなわけです。普通、2 時間で本 3 冊読んでと言ったら、柔らかな退職勧告じゃない? それが、「了解です。お疲れさまです」と言って私を帰してくれるのは、部下がフォトリーダーだからこそ。

ですから、まったく違う人生の時間の使い方になったという感じですよね。それが、最初に講座を受けたときに見えたんです。これはみんなに伝えなきゃ、と思いました。

―インストラクターになろうと思ったのは、それからどれぐらい経ってからですか?

10 ヵ月経たないころですね。あのときは神田さんがインストラクターになる人を探していたのだけど、私には声がかからなかったのね。山口さんは本業があるから、みたいにおっしゃってくれたけど。あれは忘れもしないけどあるとき、フォトリーディングのインストラクターになる人の心構えってなんだろう?と考えながら家の玄関を開けた瞬間に、「(インストラクターを自分が)やったらええやん」という言葉が、どこかから大阪弁で聞こえたんです(笑)。

それで、そうだ、私がやったらいいんだと思って、意気揚々と神田さんにメールを打ったんです。インストラクターになりたい!って。それで、ちょっとやりとりがあって、インストラクター試験を受ける仲間に入れてもらえることになったのね。だから押しかけ女房なんです。

―そうだったんですね。でも、その後山口さんの講座からは、内閣府から陸前高田市副市長に転身された久保田崇さんをはじめ、会社員から政治家の道に進んだ稲垣昌利さん、元格闘家で、いまは多彩な活動をされている須藤元気さんなど、各界で活躍されている方がたくさん出ていますよね。

うーん、確かに化けている人は多いですよね。稲垣さんなんかは、「この講師は 2 日間こんなに元気なんだ」と驚いて、自分もがんばらないといけないと思ったと言ってくださいました。久保田さんも、「あれだけ一生懸命教えてくれたから、僕も一生懸命勉強した」と言ってくれています。私、講座では本当に捨て身で教えているんです。こんなに情熱傾けて教えられたら、応じないわけにはいかない。そう思ってくれるのかもしれませんね。

(後編に続く)