山口佐貴子さん【後編】

フォトリーディングを手段にできる人は伸びる

―山口さんの講座からは、その後各界で活躍される方がたくさん出ています。そういった方に共通するものは何か感じられますか?

探究心が旺盛ですね。あとは躊躇しない。新しいチャンスが来たときは怖くて当たり前だけど、「私にはフォトリーディングがある。マインドマップも習った。だから、まずはやってみる」そうやって、習ったことを後ろ盾にして前に進もうと思えるかどうかだと思います。

あともう 1 つは、フォトリーディングを手段に使えるということですね。フォトリーディングという行為自体にはまる人がいます。以前にも、フォトリーディングを学んだあと、1 ヵ月で 300 冊本を読んだという受講生がいました。

―ということは、1 日 10 冊のペースですよね。

そうなの。びっくりして、私が「それでアウトプットは?」と聞いたら、「これからです」って。私はもちろんその方のその先に期待したい。結局アウトプットしなかったら何にもならないのです。フォトリーディングをやって変わっていく人は、1 冊読んでもアウトプットしている。本の内容を人にしゃべる、ブログに書く、仕事に使う。このアウトプットがあるかないかの違いは、すごく大きいです。

あとよく受講生から受講後にメールでもらう感想があって、「フォトリーディングは何よりも“考え方が重要”だと分かった」と。私がよく例えるのは、フォトリーディングはすごくよく切れる刀だということ。刀を使うときには武士道という考え方も一緒に学びますよね。フォトリーディングも、フォトリーディング道という思考を学ぶことが大事という意味で同じなんです。

一番悲しいのは、せっかくフォトリーディングを習ったとしても、講座が終わって日常生活に戻っていったときに、思考回路まで元に戻っていってしまうこと。どうせできないだろうなとか、家族や周りは以前と一緒だからとか、何かと言い訳が出てくる。そこに戻らせないために、私は集中講座の 2 日間で、脳の使い方とか考え方も徹底的に教えて、本当にフォトリーディングが入る器にして帰すんです。自分の能力を信頼することとか、難しい課題に直面しても「もしできるとしたら?」と考える、考え方とか。実際に、講座中に 1 時間弱で 1 冊の本をマインドマップを書きながら読み終える人が続出しますし。

―なるほど。そこがしっかり身につけば、フォトリーディングを習慣にしてどんどん使っていけそうですね。

私は講座後、受講生へのフォローメールを 1 年にわたって出しています。例えば、最初の21 日間はスキルが定着するための徹底フォローです。そしてその後は、フォトリーディングを受けて 8 ヵ月くらいたったらこういうことにチャンレンジすると、新しい扉が開いておもしろいからやってみて、という感じです。

私は、受講生から講座後にどんなメールが来るかをずっと追いかけているから、その時々でどういうことが不安になるという蓄積があるわけです。それをメールに組み込んでいます。テクニックについては講座で全部教えますが、スキルについての質問は参加者の 1 割もないですね。

これまで 3,700 名以上に教えてきて分かったのは、フォトリーディングができない人の共通点は、テクニック的なことでは決してなくて、「こんな私にもできるでしょうか」という不安が拭えないということ。講座の中ではできていたのに、その後、「私にできるでしょうか」と何度も聞いてくる。だから、私は講座内で 1 冊 1 時間程度で読んでもらえるまでフォローします。講座は常にバージョンアップさせています。

大人も子供も自分の可能性を信じられる

―山口さんは、お嬢さんにもフォトリーディングを教えていらっしゃいますね。きっかけはどんなことだったんですか?

娘が、中 3 の夏休みに模試を受けたら、偏差値が 38 だったの。彼女があまりのショックに私のところに来て、「フォトリーディングは高校受験に役立つの?」と聞いてきたのです。実は、私は娘が小学校 4 年生のときにフォトリーディングを教えようとしたのだけど、「これはずるいから嫌!」と拒否されたのね。いいこと言うなと思った(笑)。それで、娘が自分でやりたいと言うまで放っておいたのね。やっぱり、押し付けられた目的ではなく、自分にとって『快』な目的が設定されなかったら、本当のフォトリーディングにならないから。

で、とうとう時来たり。フォトリーディングを教えたのです。そうしたら、成績がどんどん上がっていきました。

―それは、どの教科もですか?

英語、数学、国語の 3 教科全て、偏差値で 15~20 上がりました。

―フォトリーディングを学んで、お子さんが一番変わったのはどんなところですか?

性格がものすごく穏やかになったところです。子どもがフォトリーディングを学んだ親御さんから、その声はすごく多いです。やっぱり、勉強ができない自分にイライラしているのね。何をやってもできないと思っているのだけど、やればできるとなると、周りにも優しくなれる。自分の未来に期待が持てるのでしょうね。うちの娘もいまは慶應大学に行っていて、基本、日々ご機嫌です。

―ご著書の『考える力がつくフォトリーディング』に、フォトリーディングは勉強が苦手な子どもにもできる、と書かれています。これはどうしてですか?

子どもは、勉強ができる子と、音楽やスポーツが得意な子にどうしても分かれてしまいますよね。音楽やスポーツができる子は、右脳的な感性が優れているのだけど、それを使ってテストでいい点を取る方法を知らないわけです。フォトリーディングは、ホールマインド=全脳を使う学習法です。だから、左脳勝負だけで学力を試されてきた子たちが、右脳も込みのホールマインドで勝負できるとなったら、教科書を読んでもどんどん知識が入るわけです。フォトリーディングは、勉強が苦手な子でも、自分の発達している脳が使える勉強法なんです。

―なるほど、そういうわけなんですね。講座で大勢の受講生を教えることは、とてもエネルギーのいることだと思いますが、エネルギーを保つために普段心がけていることは何かありますか?

……ない。

―特になしですか。

まぁ、洋服を買うとか……。それはね、人前に立つから、やっぱり気分が明るくなる色を着ようとか、そういう配慮ですけども、基本的に体も健康だし、それに何と言ったって、講座に行ったら受講生とエネルギーの交換ができる。だから、私は講座を始めると元気になるんです。前準備はほとんどない。唯一している準備は、講座の会場セッティングを必ず自分ですることですね。

―それはどういう理由からですか?

その場の空気と自分の存在を均しておくというか、なじませておくためです。私とその場がなじんでいなかったら、みんなもなじみにくいですよね。だから、ひとつだけケアすることは、その場と自分を前もってなじませておいて、本当に心から皆さんをお迎えできる状態にしておくこと。あとはもう、スタートしたら私がエネルギーを出して、みんなからもエネルギーをもらうから、どんどん元気になっていくのね。

―エネルギーがうまく回っているんですね。今後はどんな活動をされていきたいですか?

私はライフリモデルということを提唱しています。人生の型替え。フォトリーディングもリモデルの 1 つですが、長く受講生と関わっていると、読書の型が変わって一生懸命勉強し、ものすごい変化を遂げたとしても、例えば、この人のコミュニケーションのとり方はちょっと人を圧迫する、と思ってしまう受講生がいたりします。やはり、大事なのは総合力なんですよね。

私は『桶の論理』と言うんだけど、箍ではめられた桶の 1 つ 1 つの板が、知性、努力の度合い、コミュニケーション力、健康、などだったりすると、そのどれか 1 つが極端に低いと、中に水がたまらないですよね。ですから、これは老婆心なんですけど、そのバランス力をつけるためにいろいろな講座をやっていきたいです。

自分が努力し、成長し、可能性を開花させることは、結局は人に対する貢献になるんです。自分のためだけでとどまるわけがない。自分が本当に一生懸命やれることをやったら、その影響は必ず周りの人に流れていきます。ですから、1 人の人間が才能をどこまで発揮できるかというのが、私の最大の目的であり、興味なんです。1 人の人間がどこまで変われるか。その底上げをしたい。そのための講座をこれからも提供したいですね。

聞き手:山下聡子
(2012 年 9 月 東京のご自宅にて)